アベノミクスが抱える「金利上昇」という「爆弾」

執筆者:鷲尾香一 2017年2月13日
エリア: 北米 アジア
初の首脳会談はひとまず無事に乗り切ったが……(C)AFP=時事

 

 推理小説の殺人事件のように、金融、財政の世界でも、別々の事柄が1本の線としてつながり、非常に大きな意味を持つことがある。

 1月25日と26日、日本経済新聞に日本銀行、財務省、内閣府を主語とする記事が掲載された。1つは、日銀が25日に市場が予想していた国債買い入れオペを見送ったことで、いよいよ日銀が「テーパリング」(量的金融緩和の縮小)を開始するのではないか、との思惑が市場で強まり、長期金利が一時0.080%まで上昇したというもの。2つ目は、財務省の試算によると、長期金利が1%上昇すると2020年度の国債費が3.6兆円増加し、2%上昇すると7.3兆円増加するというもの。そしてもう1つが、内閣府が経済財政諮問会議に提出した中長期の財政試算で、2020年度の国と地方の基礎的財政収支は8.3兆円の赤字になるというものだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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執筆者プロフィール
鷲尾香一(わしおこういち) 金融ジャーナリスト。本名は鈴木透。元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。
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