検証「米朝首脳会談」(2)北朝鮮の全面勝利

執筆者:平井久志 2018年6月18日
エリア: 北米 アジア
署名後の米朝共同声明を報道陣に見せようとするトランプ大統領。メディアはその内容を一斉に報じた (C)EPA=時事

 

 ドナルド・トランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は6月12日午前9時(日本時間同10時)、シンガポールのセントーサ島の「カペラホテル」で歴史的な握手を交わした。

 ホテル内の渡り廊下のような場所には6月12日という日付けに合わせ、米国の星条旗が6本、北朝鮮の藍紅色旗が6本の12本の国旗が立てられた。反対側にいた両首脳が赤い絨毯が敷かれた通路を通って渡り廊下に向かい、そのちょうど真ん中で握手を交わした。敵対関係から敵対解消に向けた歴史的な握手であった。1948年に米軍政下で韓国が、ソ連軍政下で北朝鮮が建国して以降70年後の、また朝鮮戦争(1950~53年)勃発からは68年後の米朝首脳の握手であり、それ自体が歴史的なイベントであった。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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