ボコ・ハラムの変容(下)「敗北宣言」と「ネットワーク化」

白戸圭一
執筆者:白戸圭一 2016年4月13日
カテゴリ: 国際 社会 政治
エリア: アフリカ

 ボコ・ハラムの弱体化が伝えられる中、フランス公共ラジオによると、2代目指導者アブバカル・シェカウは3月24日、インターネット上でビデオ声明を公開し「私にとって終わりが来た」と述べた。敗北宣言とも取れる声明は、シェカウがもはや組織内で力を有していないことを示している可能性がある。
 シェカウは住民に対する大規模な襲撃を主導し、ナイジェリア北東部で領域支配を目指してきたリーダーである。その彼が組織内での指導力を失ったことは、領域支配を追求する活動方針の行き詰りを示しているだろう。
 領域支配を発展、維持させるには、一定規模の巨大な組織が必要だ。だが自爆テロは、はるかに少ない人数で実行が可能であるにもかかわらず、劇的な宣伝効果を持つ。住民に強い恐怖を与えるとともに、国際社会の注目を惹きやすい。
 ボコ・ハラムは自爆テロの多用によって自らをグローバル・ジハード・テロ組織になぞらえ、世界のジハード主義者の関心を惹こうとしている可能性がある。さらには、少女を使った自爆テロに憤った米国が、ナイジェリアへの軍事的関与を深めてくれることを狙っているのかもしれない。米国を引っ張り出すことができれば、自らの武装闘争をジハードとして正当化しやすいからである。今年1月に筆者が面談したナイジェリア大統領府の国家安全保障問題の担当者は、ボコ・ハラムの領域支配拡大を阻止したことへの自信を示す一方、追い詰められたボコ・ハラムが、より注目度の高い少女を使った自爆テロに傾倒していくことへの懸念を示した。

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執筆者プロフィール
白戸圭一 立命館大学国際関係学部教授。1970年生れ。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社の外信部、政治部、ヨハネスブルク支局、北米総局(ワシントン)などで勤務した後、三井物産戦略研究所を経て2018年4月より現職。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞受賞)、『日本人のためのアフリカ入門』(ちくま新書)、『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』(新潮社)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授、三井物産戦略研究所客員研究員を兼任。
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