風が時間を
風が時間を(17)

まことの弱法師(17)

徳岡孝夫
執筆者:徳岡孝夫 2017年8月20日
エリア: 北米

 朝早くNYリバーサイドの宿舎を出て、アイドルワイルド空港へ行った。大空港である。JFK空港の名は、そのときなかった。J・F・ケネディはマサチューセッツ州から出た大統領選候補者に過ぎず、共和党のニクソン候補者に知名度で劣っていた。もちろんダラスの悲劇も、まだ先のことである。

 モホーク航空の小型旅客機は黄金色に染まった北部ニューヨーク州の上を飛び1時間ほどで着陸した。後ろのドアが開き首を突っ込んだ男が「オルバニー、オルバニー」と叫んで荷物を2つほど下ろした。乗客数人が交替し、ドアが閉まって旅客機は再び離陸した。ぶっきら棒な「空飛ぶ乗り合いバス」だった。次の着陸地がオルバニーから約200キロ、私の留学先シラキュースだった。

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執筆者プロフィール
徳岡孝夫 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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