Δ(デルタ)

連載小説 Δ(デルタ)(43)

杉山隆男
執筆者:杉山隆男 2018年2月10日
エリア: 中国・台湾 日本
沖縄県・尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島 (C)時事

 

【前回までのあらすじ】

首相官邸の執務室では、緒方総理を中心に様々な情報の分析が行われていた。巡視船「うおつり」に残った愛国義勇軍兵士の一連の動きから、義勇軍内部が一枚岩でないことがわかる。北京が噛んでいる――それが自衛隊の出した判断だった。

 

     32(承前)

 門馬が傍らを振り向くと、内閣情報官の滝沢は目顔で了解済みのサインを送ってみせる。調別はかつての内調、日本版CIAになぞらえられる内閣調査室のコントロール下にあり、その関係は滝沢がヘッドをつとめる現在の内閣情報調査室と防衛省電波部にも引き継がれている。つまり電波部が得た極秘情報の送付リストに真っ先に名前をしるされているのが、滝沢なのである。

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執筆者プロフィール
杉山隆男 1952年、東京生れ。一橋大学社会学部卒業後、読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。1996年『兵士に聞け』で新潮学芸賞受賞、以後『兵士を見よ』『兵士を追え』とつづく「兵士シリーズ」は7作目の『兵士に聞け 最終章』で完結した。ノンフイクション、小説、エッセイなど精力的に執筆し、『汐留川』『昭和の特別な一日』『私と、妻と、妻の犬』など著書多数。
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