安倍能成『新中国見聞記』(『世界紀行文学全集』修道社 1971年)
満州事変に3年先立つ1928(昭和3)年秋に北京を訪れた安倍は、「支那人の個人としての生活力の強さ、その弾力の豊富さは、支那人をして圧さえればひっこみ弛めれば膨れしめる。支那人はこの点に於いて無気味な不死身の性を持って居る。けれどもこれは同時に強い力の前にはちぢみ上がり、相手が弱いと見ればむやみにのさばるという厭うべき性質ともなって現われるであろう。何といっても国土が広く、資源が豊かで、人間の生活力が強い支那の前途は実に我々の前に置かれた興味ある謎でなければならない」(『瞥見の支那』)と綴っている。
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