働き方改革関連法に伴う労働基準法の改正により、物流業界ではこの4月から年間の時間外労働時間の上限が960時間、月平均して80時間に規制された。さらにトラックドライバーの連続運転は4時間を限度とし、直後に30分以上の休憩を取ることも義務化される。時間外労働の上限規制に違反すれば、「6カ月以下の懲役」または「30万円以下の罰金」が科せられる。これによって生じるさまざまな問題が「2024年問題」である。
もとより成り手が減っていたトラックドライバーの不足には拍車がかかる。公益社団法人鉄道貨物協会の本部委員会がまとめた報告書「モーダルシフトで子供たちに明るい未来を」(2019年5月)によると、全産業におけるドライバーの不足は25年度には約21万人、28年度には約28万人となる予想だ。
「3日目販売」が困難に
とりわけ農業の物流現場では、人手によって荷物の積み下ろしをする手荷役が多い。農産物を集荷して選別や調製をした後に一時保管しておく農業関連施設では、いまだにパレットを使わず、紙袋や段ボールのままで置いておくことはざらである。ドライバーがそれらを一つひとつトラックに載せる「バラ積み」をしているので、時間も労力もかかる。
たとえばコメの包装で一般的な30キロの紙袋を12トン車に隙間なく積み込む場合、その回数は約400回に及ぶ。それだけ、その日のうちに輸送できる距離も短くなる。
これまではドライバーの時間外労働時間に制約がなかったので、少なくとも産地にとってはそれで問題はなかった。ただ、4月以降はそうもいかなくなる。とくにあせりを感じているのが、大消費地から遠い九州と沖縄、北海道の産地だ。……
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