いまこそ吹かせるべき自然エネルギー普及への追い風

執筆者:岡田真一 2008年4月号
エリア: アジア

「外資系」や「政府系」なら派手なニュースになることも多い。では「市民ファンド」をご存知だろうか。 これは、公益的な事業をしたいが担保がないため銀行融資を受けられないNPO(非営利組織)が自前で匿名組合(ファンド)を作り市民から広く資金を集める仕組みだ。この数年、静かな広がりをみせている。「寄付だけでは継続的な事業はできませんし、寄付者も『出しただけで満足』になりがち。出資を募り配当を出す市民ファンドなら公益事業の財源も安定するし、出資者も自分のお金の使われ方がわかるのです」 全国で十基の“市民風車”を建設・運営する「自然エネルギー市民ファンド」の加藤秀生事業部長はそう話す。筆者は市民ファンドが風力発電や太陽光発電など環境負荷の少ない自然エネルギー事業で使われていることに注目している。国際社会で自然エネルギー普及の動きが急速に進む中、「環境立国」を謳う日本の取り組みはあまりにも遅れている。総発電量に占める割合をみれば、ドイツが「二〇三〇年までに四五%」、アメリカが「二〇二〇年までに一五%」を目指すのに対して、日本の目標は「二〇一四年までに一・六三%」。今年七月の洞爺湖「環境」サミットのホスト国としても、民間の取り組みを強力に後押しすべきではないか。現状をレポートしたい。

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