中国ステルス機の試験飛行は意図的挑発か

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2011年1月14日

ゲーツ米国防長官の訪中時に中国が新開発したステルス機「殲20」が試験飛行を行ったことが波紋を呼んでいます。

米中の真意はまだ完全には判定できませんが、いくつか確認できている事実を整理してみます。

・中国は、通常なら秘密裏にされる新型兵器なのに、殲20の試験飛行は意識的にショーアップした。民衆が飛行場の周囲につめかけるなど、常識では考えにくい行動を取った。

・ゲーツ氏訪問とのバッティングを中国は回避しなかったわけだが、胡錦濤・国家主席は、試験飛行の具体的情報、重要性などを知らされていなかった可能性が高い。

・試験飛行の中心人物は習近平氏だとする未確認情報が流れている。

・米国は、殲20の開発に自国の安全保障にかかわる問題として強い懸念を抱いている。

・米国は、率先してネガティブな情報(胡主席は試験飛行を知らなかったとする話など)を米系メディアを中心にリークし、米内外で懸念の拡大を狙って情報操作を図っている。特に中国軍のシビリアンコントロールの点を問題提起し、胡主席の軍への指導力に疑問符をつける印象操作になっている。

こんなところだと思います。中国内部の権力闘争も絡んでいるかも知れません。米中関係は昨年から冷却期にありますが、そのトレンドが続いていることもうかがえます。今後、米中それぞれの内情とともに、問題の全体像をどう描けるか少しじっくり情報を精査してみる必要があるでしょう。(野嶋剛)

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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