ムバラク退陣とオバマ政権の立場

執筆者:渡部恒雄 2011年2月14日
カテゴリ: 国際
エリア: 北米 中東

 2月11日、オバマ大統領はエジプトのムバラク大統領の辞任を受け、ホワイトハウスで「ムバラク氏は辞任によってエジプト国民の変革への渇望に応えた」との声明を発表した。ただし、オバマ大統領は「これは移行の終わりではなく始まりだ。困難な日々が待ち受けている」と指摘して、エジプト軍部に対して「国民が信用できる移行を進めねばならない」と呼び掛け、非常事態法の解除、自由で公正な大統領選挙と憲法改正などの具体的な措置を求めた。

 権力を掌握しているのは軍だが、軍の最高評議会が声明を出し、シャフィック首相率いる現在の内閣が存続すること、そして「すべての国際的な義務や条約を守る」としてイスラエルとの平和条約を尊重する立場を確認したことは、オバマ政権にとっては何よりの朗報といえるだろう。

 米国が長年にわたってエジプトの独裁政権を支援してきたのは、1978年にイスラエルと単独で平和条約を結び、第1次から第4次中東戦争まで30年に渡ってくりひろげられた戦争を終結させたナセル-ムバラク路線が、米国とその同盟国であるイスラエル双方の利益にかなうもので、中東の安定に寄与してきたからだ。エジプトに年間13億ドルもの軍事援助を継続しているのもこのためである。

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執筆者プロフィール
渡部恒雄 わたなべ・つねお 東京財団上席研究員。1963年生れ。東北大学歯学部卒業後、歯科医師を経て米ニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチで政治学修士号を取得。1996年より米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員、2003年3月より同上級研究員として、日本の政党政治、外交政策、日米関係などの研究に携わる。05年に帰国し、三井物産戦略研究所を経て現職。著書に『「今のアメリカ」がわかる本』など。
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