日本の財政破綻は如何にして起きるか

執筆者:小幡績 2011年3月1日
エリア: 日本

 金融危機は、政府の財政危機、銀行危機、インフレ危機の3つの形をとる。これはケネス・ロゴフ・ハーバード大学教授の分類法だが、相互排他的ではなく、同時に起こりうるとともに、相互に関連している可能性もある。日本政府の財政危機についての議論が高まっているが、ロゴフ教授の分類法は示唆的で、銀行危機やインフレ危機も視野に含めて議論する必要がある。そこで、本稿では、①日本は財政危機なのか否か、②危機だとすれば破綻する可能性はあるのか、③破綻する場合にはどのようなシナリオとなるのか、について検討したいと思う。

すでに「危機」ではない

 結論を先取りすれば、私は、政府は財政危機ではなく、危機を通り越して破綻が確実な情勢であり、財政破綻は必至であるが、実際の破綻プロセスにおいては、政府の財政破綻は起きないと考えている。
 ポイントは2つ。第1に、危機というのは、崩壊の瀬戸際ということであるから、必ず崩壊するのであれば、それは危機とは呼べず、将来の破綻が確定していると言うべきである。第2に、財政破綻が実現する際には、政府の資金繰りが詰まるという形ではなく、財政破綻が確実と見込まれた時点で、銀行危機あるいはインフレ危機という形で現れるということだ。なぜか。順を追って検討したい。
 まず、現状が危険であることは確実だ。日本政府の借金は1000兆円に近づき、対GDP(国内総生産)比で200%を突破する勢いで、先進国ではイタリアの118%を大きく引き離してトップ、世界でもジンバブエの240%についで第2位で、あのギリシャの144%をも大きく上回っている。年毎のフローベースでも、税収よりも国債による歳入額が多く、異常事態である。

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執筆者プロフィール
小幡績 1967年、千葉県生れ。東京大学経済学部卒業後、大蔵省(現・財務省)に入省し、99年退職。2001年、ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。2003年より現職。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。単著に『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、共著に『ニッポン再建論』(廣済堂新書)などがある。
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