「所有者」に任せるな:「原発危機対応」最低限の改善点

原英史
執筆者:原英史 2011年4月6日
カテゴリ: 社会
エリア: 日本

 福島原発は依然深刻な状況が続いている。今回、残念ながら明らかになったことは、ひとたび原発が危機に陥った際、事業者や行政の対応がいかに頼りないかだ。「今はまだ緊急対応の最中であり、検証や反省はあとにすべきだ」という声があることは承知の上だが、事態収束にはまだ時間がかかり、一方で、次なる危機は明日起きても不思議ではない。既に浮かび上がっている疑問点に即して、いかに原発危機への対応体制を改善していくべきか、早急に打てる手がないか。以下で探ってみたい。

 その前にまず、今回一躍世に知られることとなった「原子力安全・保安院」という組織について触れておく。名称からして分かりづらいが、「原子力安全」と「産業保安」(例えばコンビナート・ガス施設などの安全対策)の両方を担い、組織名はこれを「・」で繋いだものだ。
 原子力安全行政は、かつては、科学技術庁(原子力安全局)と通商産業省(資源エネルギー庁)で混然となっていたが、橋本行革による中央省庁再編の際、経済産業省の下部機関として「原子力安全・保安院」を設置し、原子力安全に関わる一次的な規制をほぼ一元化した。
「一次的な」というのは、原子力安全規制では、制度としてダブルチェック体制を敷いているため。事業者に対する検査や認可(一次的な規制)を行なう原子力安全・保安院に対し、その規制活動の指針を示し、ダブルチェック(二次的な規制)する役回りが「原子力安全委員会」だ。これは、省庁再編前は科学技術庁にあったが、現在は内閣府に置かれている。
 なお、文部科学省にも、試験研究炉や放射線関連など一部の機能が科学技術庁から引き継がれており、放射線測定値の公表では文部科学省が出てくるのはこのためだ。そのほか、食品安全の問題では食品衛生法を所管する厚生労働省と消費者庁など、問題が拡がるといろいろな役所が関係してくる。

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執筆者プロフィール
原英史
原英史 1966年東京都生れ。東京大学法学部卒、米シカゴ大学院修了。89年通商産業省(現・経済産業省)入省。大臣官房企画官、中小企業庁制度審議室長などを経て、2007年から安倍・福田内閣で行政改革・規制改革担当大臣の補佐官を務める。09年7月退職。株式会社政策工房を設立し、政策コンサルティング業を営む。大阪府・市特別顧問、国家戦略特区ワーキンググループ委員(内閣府)、社会保障審議会年金事業管理部会委員(厚生労働省)を務めるほか、NPO法人万年野党理事、「地方議会を変える国民会議」発起人など。著書に『官僚のレトリック』(2010年、新潮社)、『「規制」を変えれば電気も足りる』(2011年、小学館101新書)、『日本人を縛りつける役人の掟/岩盤規制を打ち破れ』(2014年、小学館)、『国家と官僚』(2015年、祥伝社新書)。
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