紅茶大国インドにコーヒー文化が浸透

執筆者:山田剛 2011年4月21日
カテゴリ: 文化・歴史 国際

 

 国際情勢や外交政策はもちろん大事だが、読者の多くを占めるであろうビジネスマンの方々が文字通りホッと一息つけると同時に、仕事のヒントになりそうな話題もたまにはいいだろう。
  世界最大の紅茶生産国であるインドで、コーヒー文化が急速に普及・拡大している。「オシャレ」「流行の先端」といったイメージが若者や都市ビジネスマンに受け、コーヒー・チェーン各社はアグレッシブな投資計画を打ち出して各地に店舗網を拡大中だ。今年1月には世界最大のカフェ・チェーン、スターバックス・コーヒーが大手財閥系タタ・コーヒーと提携覚書を交わし、いよいよ今夏にもインドに上陸する。
 ニューデリーやムンバイなど大都市のカフェは、ノートパソコンを叩きながらコーヒーをすする背広着用のビジネスマンや、ボンボン風の若者カップル、テキストを広げて勉強に余念がない学生などでいずこも盛況。コーヒーの価格は1杯40-90ルピー(約80-170円)、軽食まで注文すると数百ルピーに達することもあり、所得規模を考えると庶民にとってはもはやリッチな夕食といったインパクトがあるが、都市中間層の懐にはかなり余裕があるようだ。
 インド各地の繁華街、空港、鉄道駅、コンビニ、ガソリンスタンドなどに約1000店を展開し「インドのスタバ」と称されるカフェ・コーヒー・デイ(CCD)は、国内南部にアジア最大級のコーヒー農園を保有。昨年10月にはチェコのカフェ・チェーンを買収するなど海外展開にも乗り出している。CCDは今後毎年10億ルピー(約19億円)規模の投資を実施し、2015年までに印国内の店舗数を2000店まで拡充する計画を打ち出している。
 英系コスタ・コーヒーはデリー首都圏に現在45店を展開中だが、2011年には50-60店の新規出店を計画。3億5000万ルピー(約6億6000万円)を投資するとしており、立地としては空港やショッピング・モール、繁華街の目抜き通りなどに重点を置く。
 2007年にいったんはインド進出を凍結したスターバックスだが、タタ・コーヒーと結んだ提携覚書は、タタ・グループ傘下のホテルや店舗内などへの出店やコーヒー豆・焙煎施設の提供、コーヒー栽培農家への技術指導など幅広い項目が盛り込まれており、準備は完璧といったところだ。同社では7~8月にもインド第一号店をオープンさせる、と意気込んでいる。
 インドにおける大手コーヒー・ショップの売上高は現在100億ルピー(約190億円)規模に達しているとされる。外食産業ではマクドナルドやピザ・ハットなどが大成功を収め、地方都市への出店を加速させる段階に入っている。保守的な飲食文化を持つインドにもようやく大きな変化が訪れつつあり、これが新たなビジネスチャンスを生み出すきっかけとなる可能性は十分だ。(山田 剛)
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執筆者プロフィール
山田剛 日本経済研究センター主任研究員。1963年生れ。日本経済新聞社入社後、国際部、商品部などを経て、97年にバーレーン支局長兼テヘラン支局長、2004年にニューデリー支局長。08年から現職。中東・イスラム世界やインド・南アジアの経済・政治を専門とする。著書に『知識ゼロからのインド経済入門』(幻冬舎)などがある。
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