「日本はユーロ危機に対して何ができるのか」という視点

渡邊啓貴
執筆者:渡邊啓貴 2011年11月24日
エリア: ヨーロッパ

 昨年ギリシャの財政危機に端を発したユーロ危機が終息しない。10月に開催された欧州首脳会議、11月初めのG20(カンヌ)において、ECB(欧州中央銀行)・IMF(国際通貨基金)の支援拡充の方向が打ち出されたが、具体的な決定は先送りされた。議長国フランスのサルコジ大統領は「各国政府は行動可能である。痛手を被ったといわれる筋合いはない」と強気の発言をしてみせたが、このサミットが具体的成果に乏しいことは明らかである。

 ギリシャではEU(欧州連合)からの包括支援策をめぐる国民投票をパパンドレウ首相が提唱するまでに事態は発展、独仏の圧力で国民投票実施提案は中止されたが、同内閣は倒れた。ギリシャの火はイタリアにも飛び火し、ベルルスコーニ内閣も倒閣の憂き目を見るに至った。ユーロ危機はヨーロッパ各国の国内政治の動揺にまで発展しているばかりか、スペイン、それに牽引車であるフランス危機説までまことしやかに囁かれている。フランス・ベルギーを基盤とする銀行デクシアの破綻にとどまらず、ギリシャ国債を大量に抱えるフランスの銀行が貸し倒れの憂き目を見る懸念である。ギリシャのデフォルトは目前であったし、首脳会議でのギリシャの50%債務削減がデフォルトというべきなのか、否か。このセンシティブな判断は11月の日本EU学会でも議論になった。G20最中の深夜、メルケル・サルコジ独仏両首脳は、宿泊所である「ホテル・マジェスティ」のバーで「ヨーロッパは(独仏)2カ国がひとつのブロックを形成して(結束して)はじめて存続する」と片言の英語で確認しあわねばならなかった。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴
渡邊啓貴 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1954年生れ。パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員研究員、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。
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