政局がらみで動き出したフジモリ元大統領恩赦の行方

遅野井茂雄
執筆者:遅野井茂雄 2011年12月25日
カテゴリ: 国際
エリア: 中南米

 2年前、人権侵害等の罪で25年の刑期が確定し、警察施設に監禁されているフジモリ元大統領(73)は、舌ガンの手術とその後の抑鬱症状から入退院を繰り返してきたが、12月に入り、恩赦の可能性を示唆する報道が頻繁になされるようになり、ペルーの世論を分かつ動きとなっている。

 先の選挙で元大統領の長女ケイコ候補を僅差で破ったウマラ大統領は、病状が悪化した場合、人道上の観点から恩赦を与えることに前向きな発言を行なっている。フジモリ氏本人は無実を主張しており、恩赦には同意していないと伝えられるが、報道によれば、親族は恩赦申請のための手続きに向けた準備を進めており、ケイコ氏は、申請はクリスマス明けになると述べている。

 元大統領は体重が15キロ近く減るなど、病状の悪化が伝えられるが、恩赦の実現には恩赦を妥当とする判断が必要であることは言うまでもない。反フジモリの急先鋒であるノーベル賞作家バルガス・リョサも、帰国中のリマで「終末期の状況にあるということが立証されれば支持する」との立場を表明している(19日付エルコメルシオ紙電子版)。だが23日付のラレプブリカ紙(政府系)は、元大統領が治療を受けている国立ガンセンターの医師団による診断書に基づき、老化に伴う症状はあるものの「病状は安定している」と報道している。また人権団体(APRODEH)は、人権侵害で刑に服している者に恩赦の適用はないと、反対の立場を崩していない。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄
遅野井茂雄 筑波大学大学院教授、人文社会系長。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(編著)。
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