金正恩体制を固める「核心側近」7人

平井久志
執筆者:平井久志 2012年1月6日
カテゴリ: 国際
エリア: 朝鮮半島

 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が昨年12月17日に死亡し、金正恩(キム・ジョンウン)後継体制づくりが急ピッチで進んでいる。
 12月19日の死亡発表と同時に発表された国家葬儀委員会の名簿では「喪主」に当たる名簿トップにランクされた。また労働党中央委など権力5機関が発表した「すべての党員と人民軍将兵と人民に告げる」と題した「訃報」では「卓越した領導者」とされた。北朝鮮当局の公式発表文が金正恩氏を「領導者」と表現したのは、これが初めてだ。
 北朝鮮の朝鮮中央通信などの公式メディアは金正恩氏を「最高司令官」「革命武力の最高領導者(最高指導者)」「党中央委首班」などと表現し、金正恩氏の位相は急速に高まった。
 そして、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長は12月29日に平壌の金日成(キム・イルソン)広場で開催された中央追悼大会で、金正恩氏を正式に「党、軍隊、人民の最高指導者」と規定し、その領導の下「金正日同志が示した先軍の道に沿って力強く歩む」と宣言した。
 金正恩氏はこの時点で、金日成主席、金正日総書記に続く「首領(スリョン)」の地位を継承したといえる。北朝鮮では、いかなる組織的な職責より、この北朝鮮という国家の「最高脳髄」である「首領」の地位の継承こそが最も重要な権力の源泉である。厳格に言えば、北朝鮮における「首領」は金日成主席一人だが、金正日総書記は、強権的な支配によりこの「首領」の地位を実質的に継承した。今、北朝鮮は金正日総書記の急死という危機の中で、28歳の青年に「首領」の地位を与えたと言ってよい。しかし、金正恩後継体制の最大の矛盾は、国民の信頼、尊敬が形成される時間的余裕も、本人の準備もなく「首領」の地位を継承した金正恩氏がこの重荷に耐えられるかどうかである。形式的に「首領」の地位を継承しても、内実が伴わなければ体制はやがてひずみを見せるだろう。父、金正日総書記はそれを「先軍政治」という強権で押さえ込んだ。金正恩氏にそれができるかどうかが問われることになる。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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