「メルコジ」の絆

渡邊啓貴
執筆者:渡邊啓貴 2012年2月21日
カテゴリ: 国際 政治 金融
エリア: ヨーロッパ

「友情を抱き、高く評価している人から、『あなた自身の行動をわたしは支持します」と言われた時、それはわたしにとって嬉しいことです」と、2月6日サルコジ仏大統領はテレビ放送で語った。この相手は、メルケル独首相のことである。

 同日独仏閣僚会議後の記者会見でメルケル首相が、「わたしはニコラ・サルコジが何をしようとも彼を支持します。わたしたちは友邦政党に属するからです」と堂々と語った。

 メルケル首相のサルコジ大統領支持はサルコジ大統領との緊密な関係に加えて、ヨーロッパ統合と安定を進める上での独仏相乗り自転車の片方を失わないためである。サルコジ大統領の対立候補オランドは社会党の立場を反映して国民に負担を強いる形での財政緊縮化には反対の立場をとっており、この1月にドイツの主導で調印された新しいEU財政協定には賛成ではない。オランドは当選の暁にはこの協定を再検討するという意思をあきらかにしているからである。

 メルケル首相はこの議論に対して、「(自分が)首相に選出されたとき、トルコのEU加盟のための交渉を開始したいとは考えていなかったが、前任者(シュレーダー首相)はすでにそのことを約束していた。わたしがそれを尊重することは全く当然のことでした」と語り、オランドの姿勢を批判した。サルコジ大統領も「政権交代のたびに公約が変わってしまうというのでは、調印された条約は世界に存在しなくなっているはずである」と語気を強めた。オランドの主張は選挙向けの意味合いが強く、すでに加盟25カ国の間で調印されている、国際条約を簡単に反故にすることはできないことは誰の目にも明らかである。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴
渡邊啓貴 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1954年生れ。パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員研究員、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。
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