エジプト大統領候補の襲撃

池内恵
執筆者:池内恵 2012年2月25日

 この欄でこのところ経緯を細かく追っているエジプト大統領選挙の動向だが、また予想外の展開があった。2月23日深夜のカイロで、有力候補者で元ムスリム同胞団幹部のアブドルモネイム・アブルフトゥーフが、地方遊説先から帰る途中に、乗っている車を襲撃され、運転手と共に候補自身も負傷した。3人の犯人は車を奪って逃走した。

http://www.thedailynewsegypt.com/egypt/assailants-attack-presidential-hopeful-driver.html

http://english.ahram.org.eg/NewsContent/1/64/35269/Egypt/Politics-/Egypts-presidential-candidate-AbdelMoneim-Aboul-Fo.aspx

http://www.egyptindependent.com/node/677911

 この背景に、政治的なものがあるのか、単なる物盗りなのか、判断する情報はない。

 しかし軍とムスリム同胞団が本音では「コンセンサス候補」で合意し、組織力で実質上の単一候補への信任投票に持ち込もうとしているという観測が根強い中で、唯一といっていい個人として国民に直接訴えかけ、幅広い層からの浮動票を獲得できる候補として育つかもしれないアブルフトゥーフへの襲撃は、様々な憶測を呼ぶだろう。

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執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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