サントラム撤退でロムニーが大統領候補指名獲得へ

足立正彦
執筆者:足立正彦 2012年4月11日
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

 今月10日、共和党大統領候補の指名獲得を求めていたリック・サントラム元上院議員(ペンシルベニア州)はペンシルベニア州ゲティスバーグで記者会見し、選挙キャンペーンの停止を発表した。今月24日に行なわれる地元ペンシルベニア州予備選挙を2週間後に控えた中での突然の撤退表明となった。サントラムの撤退表明により共和党大統領候補はミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事に事実上決まった。

 サントラムは表向き難病に苦しむ3歳の愛娘の入院を撤退理由に挙げているが、最近、ペンシルベニア州で実施された複数の世論調査でサントラムはロムニーにリードされる結果が相次いで明らかになっており、ペンシルベニア州予備選挙での苦戦が予想される中、地元で屈辱的な敗北を喫し、今後の政治生命に致命傷となることを避けることが、撤退を決断した最大の理由であったことは間違いないであろう。

 サントラムの撤退の意向表明の報に接して筆者が思い起こしたのは、2006年中間選挙でのサントラムの姿である。ブッシュ政権の対イラク政策が最大の争点となった6年前の2006年中間選挙で、共和党は米議会上下両院で過半数の議席を失って惨敗している。当時、再選を目指していた上院共和党ナンバー3の立場にあったサントラムは、民主党上院議員候補であったボブ・ケーシーJr.に18ポイントもの大差で敗北し、現職の上院議員としては歴史に残る惨敗を喫している。ペンシルベニア州予備選挙とともに今月24日にはコネチカット、ロードアイランド、ニューヨーク、デラウェアの北東部4州でも予備選挙が実施されるが、ロムニーが有利に選挙キャンペーンを展開しており、これら北東部4州でのロムニー優位が動かない状況にある。また、数字的にもロムニーが獲得した代議員数を上回ることが不可能な現実と相俟って、サントラムの撤退表明につながったと考えられる。中西部の主要州であるミシガン、オハイオ両州で敗北し、今月3日に行なわれたウィスコンシン、メリーランド、首都コロンビア特別区での予備選挙では3連敗を喫した。キリスト教福音派やティーパーティー(茶会党)運動支援者をはじめとする共和党保守勢力からの支持をサントラムは失いつつあることが鮮明になっていた。サントラムは社会的保守層の枠を乗り越え、保守派勢力の広範な支持を党内で拡大させることができなかった。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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