後継が定まったキューバ・カストロ体制

遅野井茂雄
執筆者:遅野井茂雄 2013年3月6日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 中南米

 2月24日開催のキューバ人民権力全国会議(国会に相当)で、再任されたラウル・カストロ議長(81歳)は、今回が最後になるとして任期5年後の2018年に引退することを表明した。同時に、第1副議長には82歳のマチャド氏に代わり、52歳のミゲル・ディアス=カネル氏が選出された。兄のフィデル元議長も同席の下、ラウル議長は、この選出を「将来の指導体制における決定的ステップ」と讃えたと伝えられている。任期中に議長に何かあれば同氏が後継として職務に就くこととなり、ディアス=カネル第1副議長が事実上の後継者として浮上した形である。

 ディアス=カネル氏は、ビジャ・クララとオルギン郡の党書記として観光業の開発などで実績を上げた後、2009年高等教育相に任命された。昨年、副議長の1人に抜擢され、議長の外遊に同行するなど急速にその存在感を高めていた。

 同氏はラウル議長と同じく、カリスマ性を欠くもののプラグマティズムの持ち主と言われ、軍ともパイプをもち、経済改革への有能な行政手腕が評価されている。米紙シカゴ・トリビューン(2月25日)は、共産党幹部や識者らの談話に基づき、同氏を、誠実で、腐敗に強く、揺るぎないコミュニスト、革命ビジョンに忠実ながらも、改革指向で、革命世代と若手世代を繋ぎ、革命の継続と制度化を求めるラウル指導部にとって適任の人物と評している。また、米外交問題評議会のキューバ専門家ジュリア・スウェイジ氏は「キューバにおけるビッグニュース」と題する2月27日付のコラムで、同副議長を「安定的な転換に向けたラウル議長の運営と合致する継続と変化を体現するようだ」と指摘している。

執筆者プロフィール
遅野井茂雄
遅野井茂雄 筑波大学大学院教授、人文社会系長。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(編著)。
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