ブッシュ政権の軟着陸構想を嗤う「ドル離れ」の波

執筆者:小田博利 2005年1月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

イラク戦争で生じた世界の亀裂をなぞるように、「アンチ・ドル」の気運が高まっている。そして、国際通貨として目覚め始めた人民元に揺さぶられる日本――。 米大統領選挙を契機に始まった新たなドル売りに、遅れて来た経済講釈師たちは「双子の赤字」談義を囃している。識者たちが目を背ける「ドルの壁」の向こう側では、通貨の衣を被った壮絶な陣取りゲームが繰り広げられようとしている。 日本のメディアは「一ドル=一〇〇円」突破にばかり関心を寄せるが、今回のドル安の焦点は人民元であり、ユーロである。『三国志』の「死せる孔明、生ける仲達を走らす」を捩れば、「対ドルで動かざる人民元、ドル安圧力をユーロに負わしむ」ということになろうか。 欧州中央銀行がユーロ売りの介入を実施しないこともあって、ユーロは十二月上旬には一ユーロ=一・三四ドルの最高値を更新した。欧州景気の低迷が目立つ中、時ならぬ「スーパー・ユーロ」の登場。ヘッジファンドなどによる投機筋の仕掛けなのだろうか。 否。実需の買い手がいる。ほかならぬ中国だ。ドイツ国債、ドイツ復興金融公庫債、ドイツ州立銀行債などを、中国の通貨当局は継続的に購入している。いずれもユーロ建て債券だ。外貨準備による実需の買いが、ユーロをドルに対して押し上げているのだ。

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