政治をゼロから考える
政治をゼロから考える(21)

政治家はなぜ失言するのか

宇野重規
執筆者:宇野重規 2013年6月10日
カテゴリ: 政治
エリア: 日本

質問 「政治家はなぜ『失言』するのでしょうか」

 

 最近、政治家の「失言」が話題になっています。目立ったのはまず、猪瀬直樹東京都知事による「イスラム諸国はけんかばかりしている」です。『ニューヨーク・タイムズ』のインタビューに答える最中の発言であり、「他都市の批判や比較を行なってはならない」とする国際オリンピック委員会の行動規範に反するとして、批判の対象となりました。

 もう1つは橋下徹大阪市長による従軍慰安婦問題についての発言です。旧日本軍において「従軍慰安婦は必要だった」とした上で、さらに在日米軍に風俗産業の活用を奨めたことが内外の批判を招きました。

 もっとも、橋下市長はこのうち在日米軍をめぐる発言については謝罪したものの、「従軍慰安婦を必要としたのは日本だけではない」として、発言の前半部分については「失言」と認めていません。

 ここで、それぞれの発言の内容それ自体については、あえて論じません。考えてみたいのは、政治家にとっての「失言」そのものです。

 

「失言」とは何か

 それではまず、政治家にとっての「失言」とは何でしょうか。辞書をひくと、「言うべきでないことを、うっかり言ってしまうこと」とあります。が、問題は「言うべきでないこと」です。政治家はいったい何を言ってはならないのでしょうか。

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執筆者プロフィール
宇野重規
宇野重規 1967年生れ。1996年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。東京大学社会科学研究所教授。専攻は政治思想史、政治哲学。著書に『政治哲学へ―現代フランスとの対話』(東京大学出版会、渋沢・クローデル賞ルイ・ヴィトン特別賞)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社、サントリー学芸賞)、『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)、共編著に『希望学[1]』『希望学[4]』(ともに東京大学出版会)などがある。
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