「役人の愚案」を排した中部国際空港の経営思想

執筆者:岡山敬 2005年3月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

「中部は関空の七割を模倣し、三割を否定した」(国土交通省幹部) 二月十七日、成田、関空に次ぐ本格的な国際空港の「三男坊」としてオープンした中部国際空港。海上空港の建設や、地元官民に負担をあおぐ第三セクター会社の設立など、中部は多くを「次男坊」関空に倣った。 ただ、重要なのは関空の経験を否定した部分だ。徹底したコスト縮減、着陸料の引き下げを意識した経営方針――中部の経営思想は、開港後十年経っても「官依存」が抜けず九十億円の利子補給金を受けてなお低空飛行が続く関空と根本的に異なる。 関空は旧運輸省の天下り社長を長く戴き、お役所体質が抜けないままズルズルと事業費を増やした。だが、中部は背後圏の人口が少なく、三番手である危機感から、トヨタから社長を招いて「カンバン方式」を採用。当初七千七百億円と見込んでいた空港建設費を六千四百億円にまで削減した。入札業者と交渉しながら値引きさせる“中部方式”は、羽田空港に四本目の滑走路を造る再拡張事業などへの活用も期待されている。 もっともコストダウンは外部環境に恵まれた面もある。例えば中部が埋め立てた水域(深度は平均五―六メートル)は関空(同十八メートル)より地盤沈下が少なく、用地造成費を約六百億円削減できた。さらに、超低金利のおかげで金利負担を三百四十億円浮かせることもできた。

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