NSAの監視プログラム「弱体化」を目指した「超党派政治連合」

足立正彦
執筆者:足立正彦 2013年7月30日
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

 近年、激しい党派対立が「常態化」している米国の政治状況の中で、民主党のリベラル派議員と共和党の保守派議員が、ある追加条項の成立を目指して共闘するという、非常に稀有な状況が米議会下院本会議において生じた。7月24日、米国家安全保障局(NSA)の電話通話への監視プログラムに制約を加える内容の追加条項の票決が下院本会議で行なわれ、否決されたものの賛成票が205票に達したのである(反対217票)。NSAの監視プログラムの弱体化を図ることはできなかったが、本稿では同追加条項の下院本会議での採決の背景に焦点を当てていきたい。

 

 下院本会議での採決で賛成票、反対票がほぼ二分される形となった追加条項を提出したのは、ミシガン州選出のジャスティン・アーマッシュ議員(共和党、ミシガン州第3区)とジョン・コンヤーズ・ジュニア議員(民主党、ミシガン州第13区)の2人である。アーマッシュの名前を取って「アーマッシュ追加条項(“Amash Amendment”)」と呼ばれたこの追加条項は、「捜査対象とはなっていない個人」の電話での通話記録をNSAが収集できないようにする内容であり、「メタデータ」として知られているNSAによる膨大な記録収集活動に大幅な制限を加えることを目的とするものであった。同追加条項は国防予算案に付帯され、下院本会議で票決が行なわれたが、僅か12票差で否決された。同追加条項の否決後に、下院本会議は国防予算案を賛成315票、反対109票の賛成多数で可決し、下院本会議で可決された同予算案は夏季休会明けに上院に送付されることになっている。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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