米国のシリア空爆の対象は

執筆者:池内恵 2013年8月28日
エリア: 中東 北米

 アサド政権がダマスカス近郊で大規模に化学兵器を使用した疑惑が強まるにつれて、シリアへの限定的空爆論米国西欧で急速に高まり、今月内にも限定的な攻撃が行われるのではないか、との観測が流れている。

 もし攻撃するとすればどのような標的に対してなされるのか。注目されているのが、7月末から出回っている、ワシントンの戦争研究所(ISW)上級海軍アナリストで米海軍の作戦立案に携わったクリストファー・ハーマーのレポートである。「統合防空システム(IADS)以外のシリア空軍の水準を低下させるために求められる出撃と兵器」と題したこのレポートは、シリアへの介入を主張してきたマケイン上院議員らに即座に注目された(概要は同研究所のホームページからダウンロードできる)。 

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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