「イラン封じ込め」を視野に入れ始めたアメリカ

執筆者:畑中美樹 2005年9月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中東 北米

イラク再建を急ぐアメリカは、次のターゲットをイランに絞っている。だが、「民主化」にウェートを移した中東戦略はテロ拡大の危険もはらむ。[ドバイ発]年内の総選挙・本格政権樹立にむけてイラクの国家再建がいよいよ大詰めを迎えている。武装勢力による襲撃事件など、移行政府を脅かしてきた治安問題は解決からほど遠い。しかし、「中東民主化外交」を強力に進め始めた米ブッシュ第二期政権にとって、その試金石となるイラクでの政治プロセス遅延は許されない。アメリカが年末までの間、武装勢力鎮圧にこれまで以上の力を注ぐのは確実だ。 より長期的な視点から見た場合、イラクに本格政権が成立することは、9.11米同時多発テロから続いてきたアメリカの対テロ戦争が、「次の局面」に移ることを意味しているだろう。アフガニスタン攻撃、フセイン政権転覆という二つの大規模武力行使があった過去四年は、テロリストたちとの直接対決の時代だったと言える。それが民主化外交を核にした、より間接的な対決へと、戦いの性格を根本的に変えるからだ。 ライス米国務長官は去る三月に行なわれた米ワシントン・ポスト紙とのインタビューで、「中東には政治活動や社会活動のチャンネルがないために過激主義が台頭している。アメリカはそれに完璧に対抗するものは作れないかもしれないが、性急すぎることも恐れずに自由の価値を声高に伝える」と語った。

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執筆者プロフィール
畑中美樹 1950年東京都生れ。慶應義塾大学経済学部卒業。富士銀行、中東経済研究所、国際経済研究所、国際開発センター エネルギー・環境室長などを経て現職。中東・北アフリカ地域で豊富な人的ネットワークを有する。著書に『石油地政学――中東とアメリカ』(中公新書ラクレ)、『オイルマネー』(講談社現代新書)、『中東湾岸ビジネス最新事情』(同友館)などがある。
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