TPPに不可欠な「米大統領貿易促進権限(TPA)」に対する超党派の反発

足立正彦
執筆者:足立正彦 2013年11月28日
エリア: 北米

 11月上旬に約10日間ワシントンに滞在し、ホワイトハウスや国務省の要職で対アジア政策の立案、実施に深く関与していた元政府高官や、米国の対アジア政策を専門にしている大学、シンクタンク関係者らと意見交換を重ねる機会があった。一連の意見交換を終えて、オバマ政権がその推進の必要性を力説している「対アジア重視政策」の通商面の前途に、筆者は正直一抹の不安を感じざるを得なかった。本稿では、オバマ政権の「対アジア重視政策」の中でも極めて重要な役割を担う環太平洋経済連携協定(TPP)とTPPの発効に不可欠となる大統領貿易促進権限(TPA)を巡る米国内の最新政治状況に焦点を当てたい。

  東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国を中心とした東南アジア地域は、近年目覚ましい経済成長を遂げており、正に「21世紀の世界の成長センター」となっている。同地域に対して米国が引き続き積極的関与を維持・強化するためにも、「21世紀型貿易体制」を構築することがオバマ政権にとっては不可欠となっている。こうした認識に基づき、オバマ政権はTPP交渉を積極的に推進している。TPP交渉に参加している12カ国は年内妥結に向けて現在懸命の協議を重ねているが、知的財産の保護、競争政策、国有企業改革、市場アクセスなどについて、とりわけ、米国とヴェトナム、マレーシアなどの関係国の立場の隔たりは依然大きく、12月7日から10日までの4日間の日程でシンガポールにおいて開催されることになっている閣僚級会合で妥結することはかなり困難な情勢となりつつある。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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