インテリジェンス・ナウ
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イラク新憲法が情報機関を重視 それでも拡大やまぬテロ活動

春名幹男
執筆者:春名幹男 2005年12月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中東 北米

 イラクでは国民投票で新憲法が承認され、日本では自民党が新憲法草案を発表した。 人種も文化も異なる異質な国の憲法と草案であり、違いの指摘は意味がない。だが、イラクの新憲法を読んで、わざわざ情報機関の役割を明記しているのを見つけ、驚いた。 イラク憲法第九条一項のdで、(1)「イラク国家情報局」(INIS)は情報を収集し、国家安全保障への脅威を評価、イラク政府にアドバイスする(2)文民統制で行政府の監督下に置く(3)法および人権の原則に従って運営する――としている。 現在の泥沼状態を脱するためには情報機関の任務が重要であるのは明らかだ。それと同時に、INISは旧フセイン政権の情報機関「ムハバラト」が犯したような人権侵害を繰り返さない、と約束しているのである。 INISは二〇〇三年、米軍から三十億ドルの資金を得て発足、現在の長官はモハメド・アブドゥラ・アルシャフワニ氏と伝えられる。旧イラク軍将校を一九八四年に退役した後、英国に逃れ、対フセイン政権抵抗運動をしていた人物だ。 現実には、INISは米中央情報局(CIA)の下請け機関と化している。 CIAバグダッド支局は、ベトナム戦争時代のサイゴン支局や、対キューバ工作を展開したマイアミ支局より大きく、五百人を超える規模といわれる。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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