「張成沢処刑」で始まった金正恩「独裁政治」

執筆者:平井久志 2013年12月13日
エリア: アジア

 北朝鮮のメディアは12月13日早朝、北朝鮮の公安機関である国家安全保衛部の特別軍事裁判が12日に行なわれ、張成沢(チャン・ソンテク)氏が「国家転覆陰謀の極悪な犯罪を働いた」として死刑に処するとの判決を下し、即時、執行されたと報じた。

 張成沢氏は12月8日の朝鮮労働党政治局拡大会議で、党政治局員、国防委副委員長、党行政部長、国家体育指導委員会委員長などすべての職務を解任され、党を除名されたが、それからわずか4日後に、処刑を実行された。北朝鮮の「白頭山の血脈」を継承する金慶喜(キム・ギョンヒ)党政治局員の夫である張成沢氏がここまで早く処刑されたことは、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の「唯一指導体系」を確立し、恐怖政治で1人独裁体制を確立しようとする意図とみられる。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top