アメリカ自動車産業の前途 フォードにも忍び寄る破綻の影

執筆者:井上誠 2006年2月号
エリア: 北米

GMの危機が連日のようにメディアを騒がす中、実はフォードが、より急速な経営悪化を続けている。“ビッグ3”の時代は完全に終わった。破綻を免れようとも、「独占的勝者」はもう現れない。[デトロイト発]「いままで投入を待ってくれて助かりました」――。一月八日にデトロイトで開幕した北米国際自動車ショーで、ある日本メーカーの首脳は余裕の表情でこう言ってのけた。 今回、話題を集めた米国勢の出品車両といえば、ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターが揃って発表したクロスオーバータイプの二車種程度。ただし“クロスオーバー”という呼び名は耳に新しいが、その実体はトヨタやホンダが十年近く前に北米市場に投入したSUV(多目的スポーツ車)と乗用車を掛け合わせたものとも言える。あとは小型車やハイブリッド車が目立つ程度で、つまりGMとフォードは「大幅に遅れて日本の後追いをしているに過ぎない」(前出の日本メーカー首脳)。 米国の自動車ジャーナリストたちの間でも、こうした見方は共有されている。影の薄い出品車両の代わりにマスコミ陣が集中したのが、GM、フォード経営陣への取材だった。 GMのクロスオーバー「アンクレイブ」のお披露目は十分ほどで終わり、その後に四十分以上続いたのは舞台の袖にいたリチャード・ワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)への“ぶら下がり攻勢”だ。極度の業績不振から二〇〇八年までに北米十二拠点の閉鎖や三万人のブルーカラーの削減などを決めたこの自動車最大手のトップには、根強い辞任説が囁かれている。

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