大胆になりきれない日本のエタノールビジネス

執筆者:秋谷葉一 2006年5月号

バイオマス導入を現実的な落とし所に導いたのは評価できる。だが、業界のためらいや抵抗勢力の存在が、大胆な一歩を妨げている。 バイオマス(生物資源)燃料を後押しする、ダイナミックな追い風が吹いている。今年の一般教書演説でブッシュ米大統領は自国の「石油依存症」からの脱却を公約した。消費の多い石油燃料の代わりに、エタノールに関心が集まる。特に、トウモロコシやサトウキビなどを原料とするバイオエタノールは、農作物を転用できることから、これまで欧米では農業補助政策に使われてきた。 だがいま注目すべきはその経済効果。米国の有力業界団体であるRFA(再生可能燃料協会)は、石油からエタノール燃料に転換するメリットを、「二〇一二年までに米国のGDP(国内総生産)を二〇〇〇億ドル(約二四兆円)押し上げる」と試算した。 日本国内も動き始めた。今年一月に業界団体の石油連盟が「バイオエタノールからETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)を製造し、ガソリンに混合する」と発表。二〇一〇年度からの実用化を明言し、これまでの慎重姿勢から一転した。業界の支持を受けて政府も、石油依存率がほぼ一〇〇%だった自動車や船などの輸送用燃料(ガソリン・軽油)のうち、二〇三〇年に二割をバイオマスなどの新燃料で賄えるよう積極利用を進める方針だ。

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