イスラエルを攻撃に駆り立てた「脅威」とは何か

執筆者:立山良司 2006年9月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中東

「中東のあるべき秩序」をめぐり、二つのイメージが対立している。国連決議による停戦も根本解決にはなりそうにない。 レバノンをめぐる危機は八月十四日、国連安全保障理事会決議に基づきイスラエルとシーア派組織ヒズボッラー(ヒズボラ)の停戦が発効したことで、ようやく政治的解決の糸口をつかみかけ始めたかにも見える。この間、イスラエルのレバノン攻撃は国際社会の高まる批判をまるで逆なでするかのようにエスカレートし、ヒズボッラーもまた、イスラエル北部に二千発以上のロケット弾を撃ち込むなど激しく反撃している。両者の衝突は何故これほどまでに激化したのか。 根底にあるのは中東のあるべき秩序をめぐる二つの異なるイメージの対立であり、それに基づくイスラエルの脅威認識だ。 危機の発端はヒズボッラーがイスラエル北部に越境侵入し、イスラエル兵士八名を殺害し、二名を拉致したことだった。 ヒズボッラーはイスラエルが南レバノンを占領下においた一九八〇年代前半に、反占領組織として作られた。それ以来、イスラエルへの抵抗を続けているが、イスラエル軍は二〇〇〇年五月には南レバノンから撤退し、国連も「完全撤退」を確認した。そのためヒズボッラーはイスラエルに対する「武力抵抗運動」を続ける理由をすでに失っているのだが、イスラエルが依然としてレバノン領の一部を占領しているなどと主張し、イスラエルへの攻撃を続けている。背景にあるのは、ハマスなど他のイスラム過激派やイランと同様、パレスチナに非イスラム教徒の国家イスラエルが存在することは受け入れられないというイデオロギーだ。

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