強まる「反中愛港」:香港は「台湾化」に向かうのか

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2014年9月8日
カテゴリ: 国際 政治 金融
エリア: 中国・台湾
 8月31日、香港行政長官事務所前で抗議する民主派 (C)EPA=時事
8月31日、香港行政長官事務所前で抗議する民主派 (C)EPA=時事

 3年後に行われる香港のトップである行政長官を選ぶ選挙制度について、中国の全国人民代表大会は、これまでの「選挙委員会」を通じた間接選挙から、市民による直接選挙を導入することを決めた。ところが、制度上、立候補するには業界団体の代表たち1200人で作る「指名委員会」の過半数の指名が必要とされ、立候補者数も2人ないし3人に限ることになった。この「指名委員会」のメンバーは、中国寄りの人物が多数を占めた「選挙委員会」と同じ構成となるため、民主派の立候補は事実上不可能になる。

 これでは「普通選挙」の名が泣く。この全人代の決定を、香港の議会が拒否することもできるが、その場合は現状の間接選挙のままだ。言ってみれば、進むも地獄、引くも地獄。民主派は「高度な自治の形骸化」と受け止め、激しい反発が広がった。民主派が最後の手段として掲げる金融街の中環(セントラル)をデモ隊が占拠する「占領中環」の実行に傾くことは間違いない。

 

「高度自治」への冷淡な態度

 1997年の返還から17年。相互交流は深まり、中国は香港にもっと大きな自治の権限を与えることも可能だった。しかし、習近平指導部が選んだのは逆の道だった。6月に行われた模擬「住民投票」や相次ぐデモなどエスカレートする「反中行動」に対して、このままでは香港の制御が効かなくなるとの不安を感じたのだろう。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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