いま「信託制度」はどう変わろうとしているのか

執筆者:鷲尾香一 2006年11月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

臨時国会で信託法が改正される見込みだ。利用者や業界にとって、どんな可能性や競争の土壌が生まれるのか。 戦前に法律が制定されてから八十余年、この臨時国会で「信託制度」が大きく変わろうとしている。「信託法改正案」が、いよいよ成立する見込みだからだ。 とはいえ、そもそも「信託」とは何かと聞かれれば、はたと返答に窮する方も多いことだろう。実は、そうと意識しないだけで、身近なところでも使われている仕組みだ。例えば、五十年ほど前に登場した車両信託がそうだ。数年前までは、都内でも、信託銀行がメーカーから車両を「受託」し、それを帝都高速度交通営団(現在の東京メトロ)に賃貸することで電車が運行されていた。営団は信託制度を使うことで、新車両を直接購入するよりも低いコストで手に入れることができ、信託銀行も手数料収入を得ることができる。 信託の基本的な仕組みは、「委託者」「受託者」「受益者」の三者で成り立つ。今度は年金信託を例にとってみよう。企業年金の場合、企業は従業員の年金資金の運用を信託銀行に委託する。つまり、「委託者」は企業。そして「受託者」は信託銀行であり、年金資金は「信託される財産(信託財産)」となる。信託銀行により運用された年金資金の利益は、年金を受け取る企業の従業員にもたらされ、従業員が「受益者」となる。いくら仕組みが複雑になろうとも、この基本構造は変わらない。

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