サハリン2「ロシアの横暴」の陰にシロビキあり

執筆者:内藤泰朗 2006年11月号
エリア: ロシア

[モスクワ発]エネルギー大国ロシアは、石油・天然ガス会社を再国有化し、国民の生活向上のために使うべきだ――そんな資源ナショナリズムを基盤にしたロシアの発展戦略を描くプーチン政権は、外資との新たな「ゲームのルール」確立に動き出した。日本の商社も参加するロシア極東の天然ガス開発事業「サハリン2」に対し、政権挙げて行なわれる「脅迫」がまさにそれである。その裏には、プーチン大統領の出身母体である旧ソ連国家保安委員会(KGB)人脈の最強硬派とされるシロビキ(武闘派)たちの暗躍がある。 大統領が信頼を寄せるシロビキの中でも最右翼のセチン大統領府副長官は、ロシア民間石油会社最大手だったユコスを倒産に追い込み、ホドルコフスキー社長を脱税などの罪でシベリア流刑にした黒幕とされる。ユコスの資産は国営石油会社ロスネフチが吸収し、わずか四%程度のシェアしかなかった同社は瞬く間にロシア最大手となった。その「功績」によりセチン氏はロスネフチの会長に就任。ユコス事件はまさに、資源ナショナリズムの具現化というべき事件だった。 英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルに加え三井物産と三菱商事が出資する「サハリン2」など、外資主導で行なわれる石油・天然ガス開発事業への今回の圧力は、ユコスに対する政権のやり口と酷似している。まず、外資に悪役イメージを与え、それから全面攻撃に出るというやり方だ。九月十八日に天然資源省が「サハリン2」に事業停止命令を出した際にも、シロビキ人脈で固められた検察当局が、同省に命令を出すよう裏で働きかけを行なっていた。

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