米大統領選挙「クリントン」「ブッシュ」それぞれの党内事情

執筆者:足立正彦 2014年12月8日
エリア: 北米

 年末を迎えて今年も残り少なくなる中、米議会ではレームダック会期が召集されているが、2016年大統領選挙への出馬表明に向けた民主、共和両党有力政治家の動きが益々慌ただしさを増してきている。民主党で現時点で最も注目されているのは、言うまでもなく、第1期オバマ政権で国務長官を務めたヒラリー・クリントン氏が再びホワイトハウスを目指すか否かである。他方、共和党では穏健派のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事が党内保守派勢力からの穏健な政策に対する批判が強まる中、出馬の判断を下すか否かである。

 

オバマ大統領との連携がカギ

 オバマ大統領は11月20日の国民向け演説の中で、大統領令による大規模な移民法改革を断行する方針を明らかにした。野党共和党は猛反発しているが、同演説直後にクリントン氏は声明を発表し、全面的に支持する姿勢を鮮明にした。クリントン氏は同声明の中で昨年6月、上院本会議で包括的移民法改正法案が一部の共和党上院議員の支持も得た上で賛成多数で成立したにもかかわらず、下院共和党の反対で棚上げ状態にされたことを厳しく批判している。また、クリントン氏が12月3日にホワイトハウスを訪れてオバマ大統領と多岐にわたり非公式に協議した事実をホワイトハウスも認めており、オバマ大統領とクリントン氏の政策調整が図られていることが窺える。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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