2人のリー:「リー・クアンユー」と「李登輝」

執筆者:野嶋剛 2015年3月31日
エリア: アジア

 リー・クアンユーの死について、いちばんコメントを聞きたいと思ったのは李登輝だった。2人は同じ「李姓」で、まったくの同世代に属する。ともに1923年生まれ。1月生まれの李登輝より8カ月、リー・クアンユーは遅く生まれた。そして、2人とも客家の家系。「4匹の龍」(シンガポール、台湾、韓国、香港)と称された「国」を率いた。

 私が特派員として滞在したシンガポールと台湾で、2人はいずれもすでに第一線からは退いていたが、その存在感は依然抜群であった。私はかねてから「2人のリー」と勝手に名付けて、比べてきた。様々な類似点と相違点、互いの感情の対立。何より自由・民主と経済発展の関係をめぐる現代アジア論が「2人のリー」からいくらでも語れそうだ。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top