それでも生き延びる“金正日体制”の現状

平井久志
執筆者:平井久志 2007年8月号
カテゴリ: 国際 金融
エリア: 朝鮮半島

健康悪化説も流れたが、どうやらまだ健在。いまは国防委員会を強化中だという。「最近、朝鮮半島情勢に緩和の兆しが見えてきた。各国は初期段階の措置を履行すべきだ」。七月三日、金正日総書記は訪朝中の楊潔チー中国外相と会談し、北朝鮮の非核化に向けた「初期段階措置」の履行を強調してみせた。そして十五日、北朝鮮は韓国からの重油提供の第一便到着を受けて、寧辺の核施設の稼働を十四日に停止したと発表した。 今年二月十三日に北京で行なわれた六カ国協議の合意に基づき、北の核廃棄に向けた初期段階に各国がとるべき措置として、北朝鮮にある核施設の稼働中止とその見返り支援、国際原子力機関(IAEA)査察官の北への再入国、米朝の直接協議などが謳われた。初期段階措置は「二・一三合意」から六十日以内に実施されるはずだったが、北朝鮮はマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)においている資金が凍結されていることを理由に履行を拒否していた。 状況が大きく動き出したのは六月後半から。七月にかけ、ヒル米国務次官補の電撃的な訪朝、IAEAのハイノネン事務次長ら代表団の訪朝、楊中国外相の訪朝が続いた。 そして今、各国はようやく初期段階措置の実施に入った。七月十八日からの六カ国首席代表会合の再開、九月上旬までの六カ国外相会合開催を目指し、朝鮮半島情勢は動き始めつつある。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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