技術偏重の「日の丸ジェット」を待つ落とし穴

執筆者:五十嵐卓 2007年12月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

「官民挙げた国家プロジェクト」の成功の見込みは薄い。日本は国産機への浪花節的こだわりを捨て、素材、部品で勝負すべきだ。 今年六月、パリで開かれた国際航空ショーは、久方ぶりに日本企業が存在感を示した。三菱重工業が小型旅客機「MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)」の客室の実物大模型を展示、旅客機市場への参入意欲を世界にアピールしたからだ。 MRJは七十―八十人乗りと八十六―九十六人乗りの二機種を生産する予定。航続距離は三千キロで、国内線や近距離国際線などの中距離のシャトル便に利用される機材だ。そうした小型旅客機は短い滑走路でも離着陸でき、燃費や整備などの効率のよさも手伝って、今、欧米はもちろん中国、インド、東南アジア、中南米などの新興成長国で需要が急激に伸びている。今後二十年間に五千機の需要が生まれるとの予測もある。 こうした市場はすでに年間八十億ドルの規模を持ち、世界の航空機メーカーが参入を目指している。H2Aロケットの主契約メーカーであり、自衛隊向けの練習機から米メーカーのライセンス生産まで航空宇宙産業で実績のある三菱重工が狙っても決して違和感はない。メーカーとしての飛躍のチャンスといえる。

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