人員削減、残業強化は不況脱出を難しくする

執筆者:渥美由喜 2009年2月号
エリア: 日本

 昨今の金融危機以降、仕事と家庭生活の調和、いわゆる「ワークライフバランス(WLB)」の動向をめぐって、興味深く感じていることが二つある。 一つ目は、企業の対応が二分している点だ。多くの企業では、WLBにとって不況は逆風と捉えられている。「WLBなんて言っていられない、そんなのは後回しだ」という風潮が広がっているように感じる。例えば、営業職の社員は、「仕事が減ってきているのだから、新しい仕事をとってこい。ただし残業代は支払えない」と上司から言われ、最近はサービス残業が増えているという声も聞こえてくる。 一方で先進企業では、「WLBの推進により、筋肉質の組織に変える好機だ」と、むしろ不況が追い風と捉えられている。こうした企業では、仕事が減って残業する必要はない。これまでの非効率な業務体制、業務の流れにメスを入れつつある。業務体制が効率化することで、残業はゼロに近くなるとともに、休暇取得日数が増える。従業員はリフレッシュしてさらに業務効率が上がる、という正の連鎖が生まれている。 当然のことながら、筆者がWLBのコンサルティングをしている企業にはこういった事例を示すとともに、「いまが大きな分岐点です」と力説している。

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