「従順なダラダラ社員」より高生産性の社員を評価せよ

執筆者:渥美由喜 2009年3月号
カテゴリ: 経済政策・社会保障
エリア: 日本

 最近、非正規社員のワークライフバランス(WLB)をどう考えるのか、と質問されることが多い。「WLBは恵まれた正社員の話で、非正規社員には関係がない。非正規社員が四割を超える現状では、彼らの雇用そのものをより強く守ることの方がよほど重要ではないか」という問題提起だ。 筆者は、正社員と非正規社員の「処遇格差」という問題とWLBによる正社員の「長時間労働の是正」という課題は、表裏一体だと考える。すなわち、正社員は、賃金水準は比較的高いものの、過重な時間外労働や転勤・配転受入れ義務といった「時間・場所の拘束性」が強い。そして、時間・場所の拘束に対して従順な社員ほど、評価が高く、賃金も高い傾向にある。 逆に、非正規社員は賃金水準が低い半面、これまでは「時間・場所の自由」ニーズが強い人が多かった。例えば、子育てしている女性や音楽や舞台活動で生きることを目指す若い男女などだ。実際にパートや派遣などの非正規での働き方を選んだ理由をみると、「自分の都合の良い時間(日)に働きたいから」が五割強と最も多い。すなわち、WLBを優先して、非正規社員になった人たちだ。 だが、最近では、非正規社員が職を失うと同時に住居までも失うリスクがあることが明らかとなり、「時間や場所を拘束されたとしても、低収入や不安定な雇用に甘んじるよりはいい」という人が増えている。

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