「偽りの夜明け」の先の闇

執筆者:小田博利 2009年6月号
エリア: 北米

四月に続々と発表された米大手金融機関の黒字決算にストレステストの数字合わせ。問題先送りを続ければ、ツケは確実にたまっていく――。 宇宙服のような白い防護服をまとった検疫官が、米国などから飛行機が到着するたびに、乗客の問診に乗り出す。成田空港のそんな風景は、他国から際立っている。日本からニューヨークに到着した便の乗客は、そろって白いマスクをかけてJFK空港に降り立つ。 NHKの子供向けドラマ、かわいい三匹の子豚「ブーフーウー」の舞台は確かメキシコの片田舎だった。今回の新型インフルエンザはメキシコの豚に由来するといわれるため、豚は、多産、幸福のシンボルから災厄の象徴になった。豚の方こそ迷惑だ。 メキシコでまとまった死者が出たのを機に、「新型」という言葉が一人歩きし、恐怖が自己増殖を起こしているのだ。企業は次々と出張を見合わせ、ゴールデンウィーク中の米国行きの便はガラガラだった。航空会社はさぞや豚を恨んでいるに違いない。 日本や香港の風景が「絵になる」と考えたのだろう。米英のメディアは日本や香港の検疫官の写真をでかでかと載せている。これではまるで、アジアが新型インフルエンザの発生地のようではないか。感染者は米州から欧州などへも広がっているが、ニューヨークの街中をマスクをして歩いている人はほとんど見かけない。空港でも検疫などしていない。

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