単なる美談ではなかった「派遣千人の正社員化」

執筆者:杜耕次 2009年8月号
カテゴリ: 社会 経済・ビジネス
エリア: 日本

景気が冷え込む中、「派遣社員千人を正社員化」した段ボール最大手のレンゴー。一見「世間の逆を行く」美談に思えるがそうではない。「従業員の格差解消」を理念とする、経営者の合理的な戦略なのだ。 関西生産性本部といえば、知る人ぞ知る在阪の財界団体だが、存在感では関西経済連合会や大阪商工会議所の後塵を拝している。昨今は会見や懇談会での記者の集まりを関係者が心配するほどなのだが、今年一月十九日の記者懇談会では珍しく“全国版”のニュースが飛び出した。 段ボール最大手レンゴーが派遣社員千人を四月から正社員として採用すると全国紙やNHK、地方紙までが一斉に報じたのだ。懇談会でこれを発表したのは同本部会長を務めるレンゴー社長の大坪清(七〇)である。 昨年九月の米リーマン・ブラザーズ破綻以来、世界景気は一気に冷え込み、輸出依存の日本の製造業では派遣社員の削減が相次いだ。年末から年明けにかけては、解雇で住居を失った元派遣社員らに食事や宿泊施設を提供する「年越し派遣村」が話題になった。その直後だっただけに、通常なら大阪のローカルニュース程度のネタだったが、派遣社員の正社員化は「世間の逆を行く」美談として全国の注目を集めた。

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