製薬メーカーに立ち塞がる「二〇一〇年問題」

執筆者:清水常貴 2009年8月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

大型の新薬が二〇一〇年を境に次々と特許切れになる。新薬は大手製薬メーカーの屋台骨なだけに各社、必死に対策を講じているが――。「最早、手の打ちようがない。絶望的です」と悲観的な声も上がっている。製薬メーカーの「二〇一〇年問題」だ。運悪く今年から二〇一一年にかけて大型の新薬(先発品)が次々に特許切れになるのである。大体発売から十―十五年で新薬の特許が切れると、待ち構えていたジェネリック(後発)医薬品メーカーがドッと参入、新薬の売上は激減してしまう。ところが、特許切れを迎える新薬の後継品が見当たらない。「たとえば、武田薬品工業の糖尿病治療薬『アクトス』は全世界で年間四千億円も売る大型新薬ですが、一一年に特許切れになる。その後継品と位置付けて開発してきた『SYR-322』が米FDA(食品医薬品局)から追加試験が必要、と通知された。追加の臨床試験を行なうと最短でも二年間はかかり、発売はアクトスの特許切れ後になってしまうのです」(製薬業界通) 最近エーザイが、主力の認知症治療薬「アリセプト」の共同販売で提携する米ファイザーに契約打ち切りを通告した。理由は、ファイザーが進める同業大手・米ワイスの買収が、エーザイとの契約条項に抵触するためとしているが、一〇年の特許切れを前に、ファイザーの販促活動に対しハッパをかける意図がある。また、第一三共が昨年、特許が切れた抗菌製剤「クラビット」を巡り、後発品を売り出すジェネリック医薬品メーカー十三社に対し、「特許延長の申請中だ」と特許侵害で訴えているのも、特許切れで売上が減少するのを抑えるためだ。

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