急成長「スクリブド」は出版のあり方を変えるか

執筆者:ルイーズ・ブランソン 2009年8月号
エリア: 北米

文書版「ユーチューブ」ともいえる人気サイトが米出版大手と提携した。何が起きようとしているのか。[ワシントン発]ネットサーフィンを楽しんでいたアメリカのSF作家のアーシュラ・ル=グウィンは、偶然あるサイトを見つけて驚愕した。自著が無断で掲載され、誰でも自由にダウンロードできるようになっていたのだ。その中には代表作『闇の左手』も含まれていた。普通の書店販売の世界では一、二を争うベストセラーだ。「いったい何の権利があって私の著作権を侵害しても許されると思うのでしょう。この人たちは自分を何様だと思っているのかしら?」と、ル=グウィンは言う。 犠牲者は彼女ひとりではない。ホラー界の大御所スティーブン・キング、バンパイヤ・ロマンス「トワイライト」シリーズのステファニー・メイヤー、そしてハリー・ポッターシリーズのJ. K. ローリングといったベストセラー作家を初め、有名無名を問わず多くの作家が違法コピーをネットに載せられる被害にあっている。 音楽業界は何年も前からデジタル海賊版に翻弄されてきたが、出版業界は“対岸の火事”と高をくくっていることができた。無論、書籍もダウンロードはできるが、コンピュータの画面上で読むのは一苦労だったからだ。ところが、ネット書店の最大手米アマゾン・ドットコムが販売する「キンドル」のような電子書籍リーダーが普及するにつれて、事態は一変した。

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執筆者プロフィール
ルイーズ・ブランソン イギリス出身。英『サンデー・タイムズ』紙モスクワ支局長を経てフリーランスに。米『ワシントン・ポスト』紙元モスクワ支局長で夫のダスコ・ドーダー氏との共著に『ミハイル・ゴルバチョフ』『ミロシェビッチ――暴君のポートレイト』がある。
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