“戦犯ドスタム”をタリバン懐柔に使うアメリカの弥縫策

執筆者:栗田慎一 2009年9月号
カテゴリ: 国際

[ニューデリー発]七月、米国のオバマ大統領が、二〇〇一年十一月に起きた「コンテナに閉じ込められたタリバン捕虜の大量死」に関する調査を命じたという米国発の報道は、アフガニスタン国内で驚きをもって受け止められた。 この事件は、タリバンと一九九〇年代に内戦を展開しタリバン政権崩壊に一役買った旧北部同盟の一角、ウズベク人のドスタム将軍の軍閥組織が関与した、とアフガニスタンでは断定されている。ドスタム将軍は、タリバン政権崩壊後には国防次官として政権入りし、〇四年の大統領選挙にも出馬した北部の有力指導者だ。その北部同盟を支援したのが、米軍や米中央情報局(CIA)。だが、現在の米軍とタリバンとの戦いが激化するにつれ、事件は人々の記憶から風化していった。 だから、オバマ氏の調査命令は、突如現れた亡霊だった。タリバンとの戦いを続けている第一線の米兵も、眉をひそめたはずだ。自爆攻撃を続けるタリバンも驚いたに違いない。タリバン掃討が正当化されなければ、米国が掲げる「対テロ戦争」の根幹が揺らぐ。敵(タリバン)の被害を慮り、ドスタムを支援した当時の米軍司令官らを傷付けかねない調査を、なぜ今、米軍の最高司令官であるオバマ氏は命じたのか。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
逆張りの思考
価値あるバックナンバー
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
最新コメント
最新トピック
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順