ブックハンティング・クラシックス
ブックハンティング・クラシックス(56)

反資本主義の時代に読み直すべきドラッカーの「経営」の原点

執筆者:喜文康隆 2009年12月号
カテゴリ: 書評 経済・ビジネス

『「経済人」の終わり 全体主義はなぜ生まれたか』P. F. ドラッカー著/上田惇生訳ダイヤモンド社 1997年刊(原著は1939年刊。現在は『ドラッカー名著集9「経済人」の終わり』が入手可能) P. F. ドラッカーの処女作『経済人の終わり』は、異端の名著である。 経営学者として日本でも熱烈な信奉者をもち、累計発行部数四百万部を超えるドラッカーの著作のなかで、この本が二、三万部にとどまっていることも、その位置を示している。 しかし『経済人の終わり』には、その後のドラッカーの思想の原型がすべて埋め込まれている。この本を読んでいるかいないか、また、いつ、どう読んだかが、その人のドラッカー理解の深さを規定しているといってもよい。 わたしは一九八〇年代後半、バブル経済のピークにこの本に出会い、バブル崩壊の具体的なイメージを得た。ドラッカーの資本主義社会への深い洞察に学んだおかげで、現在も、日本人の多くが陥っているような、ステレオタイプな市場原理主義批判に陥ることはない。『経済人の終わり』は一九三三年、ドイツのヒトラー政権下で書きはじめられ、世界が第二次大戦へと突き進む三九年に発行された反ファシズムの書である。ドラッカーは、ヒトラーのファシズムを「ドイツ人の国民性の発現」とする見方に断固として反対した。そして「一人ひとりの人間が社会と政治の信条から疎外されたこと」こそがファシズムの原因だと主張した。

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