地方の中小企業が挑んだワークライフバランス

執筆者:渥美由喜 2010年2月号
カテゴリ: 経済政策・社会保障
エリア: 日本

 二〇〇八年、内閣府は「子どもと家族を応援する日本」の内閣総理大臣表彰を企業四社に与えた。選定委員の一人だった筆者が印象深く感じたのは、四社のうち最も企業規模が小さい長岡塗装店(島根県松江市)の取組みだ。同社の成功は、地方の中小企業を勇気づけると思うので、紹介したい。 十数年前、同社は、いわゆる「3K」と揶揄される業種特性もあって、人材の確保・定着はとても深刻な課題だった。一人前の塗装職人になるまでには長い訓練期間が必要だが、若年従業員の多くは資格を取得することなく離職していく状況だった。事務職の女性従業員の中には、妊娠・出産・介護といった事情により、時間的な制約に悩む者もいた。 こうした課題に直面し、同社の古志野純子常務は、従業員一人ひとりの顔を脳裏に浮かべて、仕事に集中できる環境作りを進めていった。 具体的には、ベテラン職人を確保するために、高齢者継続雇用制度を導入した。また、若年従業員の定着・育成の観点から職場環境を整備してきた。 子育て関連では、(1)子どもの病気などによる看護のための有給休暇取得(子ども一人あたり五日間、三十分単位で可能)(2)本人・配偶者へ出産祝金十万円支給(3)保育料の三分の一を補助(4)育児のための始業・終業時間の繰上げ、繰下げ(5)育児短時間勤務制度の導入(個別の事情に応じて三十分から一時間半まで勤務時間短縮を認める)(6)妊婦・子育て中の従業員のための休憩スペースの整備。

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