劉暁波と高行健とダライ・ラマ

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2010年10月11日

今回、ノーベル平和賞を受賞した劉暁波については、1989年に天安門広場にいたときの姿を思い起こします。劉暁波は北京師範大学の講師でした。ウアルカイシも柴玲も北京師範大学で、直接授業を受けたことはなかったようですが、2人とも劉暁波の影響を受けたかも知れません。以前台北でウアルカイシにインタビューしたときも、劉暁波を称賛していました。

過去に中国関係でのノーベル賞と言えば、2000年の文学賞の作家・高行健と、1989年に平和賞を受賞したダライ・ラマ。劉暁波を含めた3人とも、中国政府にとっては「好ましくない人物」です。今回、中国政府のコメントがノーベル賞委員会やノルウェー政府に対してかなり激しいものとなっているのも、「またか」という苦々しい思いがあるからに違いありません。

チベット人など一部を除いた大半の中国人にとって、ダライ・ラマは国家分裂を企てる悪い人というイメージがそこそこ定着しており、実際のところ、中国政府の立場と民衆の考えにそこまで大きな違いはありません。高行健も、作家として有名になったのは天安門事件後。事件のときはヨーロッパにいてその後も中国に戻っていないため、中国人にとっては「だれ?」というイメージのようです。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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