印中間に新たな火種か~中国がブラーマプトラ川上流でダム着工

執筆者:山田剛 2010年11月19日
カテゴリ: 国際

インド・アッサム州ディブルーガ郊外を流れるブラーマプトラ川。雨季には対岸が見えなくなるほどの大河だ。(筆者撮影)

中国・チベット自治区のヒマラヤ山脈南麓を源流とし、インド・アッサム州を潤しベンガル湾に注ぐ国際河川・ブラーマプトラ川でのダム建設問題が、インド・中国間の新たな紛争の火種になるかもしれない。

中国は11月中旬、北京で開いた第4回印中戦略対話においてインド側に対し、ブラーマプトラ川(チベット語での中国名ヤルン・ツァンポ川)上流で出力51万キロワットの水力発電所を備えたダム建設を正式に通告した。中国外交部の張志軍副部長(外務次官)は「ダムは中国側への引水や貯水を目的としたものではない」と説明。「下流であるインド側への影響はない」、との立場を強調した。

だが、インド側にはかねて中国側の態度に不信感がくすぶっている。以前より衛星写真などでダムサイト周辺には工事着工近しを示す兆候が見られていたが、中国がダム建設計画を公式に認めたのは今年4月になってからだ。そもそも情報の少なさがインド政府の苛立ちを募らせてきた。

この問題の根底には、印中間の相互不信もさることながら、そもそも両国間に有効な水利協定が存在しないのが問題だといわれている。過去に3度にわたって戦火を交えたインド・パキスタンの間にさえ、インダス川の水利権を巡るクリアな二国間協定がある。

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執筆者プロフィール
山田剛 日本経済研究センター主任研究員。1963年生れ。日本経済新聞社入社後、国際部、商品部などを経て、97年にバーレーン支局長兼テヘラン支局長、2004年にニューデリー支局長。08年から現職。中東・イスラム世界やインド・南アジアの経済・政治を専門とする。著書に『知識ゼロからのインド経済入門』(幻冬舎)などがある。
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